誰よりも、君が好き。
 誰よりも、君を愛してる。
 ねえ、君は幸せかい。
 君の幸せが僕の幸せ。


   僕 と 君 の 等 式 。


「ねえ、シンデレラって知ってる?」
 楽しそうに笑う、手には絵本。純白のドレスを身にまとい、ガラスの靴を履いた、とても綺麗な女の人。知っているよ、それがどうしたの?
 君が開いたのは、絵本の最後のページ。
「シンデレラは、王子様と結婚して、お城へ行って」
 結末の続き、ストーリーを作ろう。キスで終わった絵本、その続き。
「そのあと、幸せになれたのかな」

 御伽噺のお姫様がどうなったかなんて、僕にとってはどうでもいい話。
 僕の脳みそは、君でいっぱいなんだ、君の事を考えるだけでとても幸せ。
 ねえ、想像してごらん。
 君はシンデレラ、僕は王子様。
 僕は君にガラスの靴を差し出す、君にぴったりのガラスの靴。
 さあ、一緒に踊りませんか。
 愛してるよ、シンデレラ。
 きっと世界は薔薇色だろうね、幸せすぎて死んだっていい。

「死んだら、あなたにもう会えなくなる」
 悲しそうな顔、ごめんね、そんなつもりなかった、君を悲しませるだなんて、それ以上の悲しみはないのに。
 好きだよ、愛してるよ、だから泣かないで、君の涙なんて、何よりも見たくないものなのに。
「死んだっていいなんて、言わないで。ずっと一緒に生きましょう?」
 うん、ずっと一緒に生きていよう、僕らはずっと一緒に、この世界で生きていく。
 幸せだろうね、きっと世界は薔薇色だ。
 君を幸せにする事が僕の幸せ、ねえ君は幸せかい、僕はそれがとても幸せだよ。
「幸せだね」
 幸せだね、これ以上がないくらい。ねえ抱きしめてもいいかい、君がとても愛しいよ。
「私も、あなたがとても愛しいの」
 ねえ、僕の幸せイコール君の幸せだとか、そんな等式が立てばいいね。
 どんな有能な数学博士にだって、立証する事の出来ない、僕らの深い愛が詰まった数式になるよ。
 確かめられるのは、僕と君だけ、僕らだけが知っている愛、僕らだけが知っている幸せ。

「私、時々、とても心配になるの」
 心配そうな顔、本当に、ねえ何が心配なの。
「あなたの大きな愛を、ちゃんと受け止めて、返せるかどうか」
 そんなの心配する事なんかじゃないよ、僕はいつも君の愛を感じているよ、君はちゃんと僕の愛を受け止めて、返してくれているよ。
 ねえ、笑って、君の笑顔が大好きなのに。
「心配なの」
 ねえ、君の笑顔が大好きだよ。
 ねえ、お願い、笑ってよ。

「ごめんね」
 君が、涙を、流してる。
 世界で一番見たくないもの、世界で一番嫌なもの。
 ねえ、泣かないで、好きだよ、愛してるよ、ねえ、泣かないで。
「私も、好き、愛してた」
 愛してた? ねえ、どうして過去形なの? 君はいつも、僕を愛しているでしょう?
「あなたの愛は、私には大きすぎたの」
 ねえ、どういうこと? 君は、僕の愛を、受け止めて、返してくれているよ。
「ごめんね」
 ねえ、泣かないで。
「ごめんね」
 ねえ、泣かないで。
「さようなら」
 ねえ。

 ねえ、好きだよ。
 君も、僕が好き?
 ねえ、愛してるよ。
 君も、僕を愛してる?
 君の事で、脳みそがいっぱいだよ。
 君も、僕の事で、脳みそがいっぱい?
 君の事を考えるだけで、幸せだよ。
 君も、僕の事を考えるだけで、幸せ?
 君が幸せなら、僕も幸せ。
 君も、僕が幸せなら、幸せ?
 君の愛を、いつも感じてる。
 君も、僕の愛を、感じてる?

 君がいない。君のいない世界。
 ねえ、涙が止まらない。
 君が愛しい。君がいない。
 ねえ、ダメだよ。
 一緒に踊りましょう。
 愛してるよ、シンデレラ。
 幸せだね、きっと世界は薔薇色だよ。
 そうやって、僕らは、ずっと一緒に生きていくんでしょう?
 ねえ、涙が止まらない。
 君がいない。君のいない世界。
 ねえ、涙が止まらない。
 どうすれば君は、戻って来てくれるの?

 君のいない世界に、僕がいる意味なんてあるのかなあ。
 僕は、幸せじゃない。
 君は、幸せかい。
 どうすれば、等式は成り立つのかな。

 ああ、僕は今、とても悲しい。
 ああ、これが続くくらいなら、いっそのこと。

 "死んだっていい"

 君が言わないでって泣いた言葉。
 僕は言ってしまったよ。
 ねえ、君はまた泣いてくれるかい。
 ねえ、君は幸せじゃなくなるかい。
 僕が幸せじゃないように、君も。
 等式が、成り立つように。


      06.03.29 ... World --333--



  げろ甘から、一気に暗く。

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